<長編> オロロントライスロン回顧録
〜ファイナルレースにかけたアスリート達〜
By Noriyuki Maeda
2006/8/27

個人参加者427名(完走330名、完走率77.3%)
リレーの部参加30チーム(完走28チーム)
天候:晴


スギ様レポートコータローレポート多田レポート
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〜序章〜
あれから1年またこのスタートラインに立つことができた。スタートからわずか31分後に悪夢は起きた。
海から上がった瞬間「ブツッ!」という感覚に襲われ、その後まともに歩く事ができなかった。右ふくらはぎ断裂である。
「このまま終わってたまるか!」と思いつつ、右足を引きずりながらトランジッションエリアまでたどり着いた。しかし、こんな足でバイクに乗れるのか?
「まあ、とりあえず行ける所まで行ってみるか」開き直って走り出した。どうせ完走が無理なら途中まででも楽しもう。
以外にもバイクを漕いでもふくらはぎの痛みは感じなかった。それでも足に負担をかけない様にペダルを回し、途中棟方選手、イシヤンと絡みながらなんとか200.9kmを完走。
しかし、バイクを降りるとやはり歩行困難、テーピングで固定して悪あがきをしてみたが、結果は同じ。
私のオロロンは遠別で終わった・・・。



〜SWIM編〜
1年間この日のために、リベンジを果たしたい一念でトレーニングを積んできた。あの悔しさを喜びに変えるために・・・。
今年は多くの仲間とスタートラインに立っている。嬉しさがこみ上げてくる。後数分でスタートだ。
特に緊張感もなく、仲間とワイワイ写真を撮る。20年目が最後となるオロロントライアスロンに参加できて嬉しい気持ちと、自分がどれだけの力を発揮できるかワクワク感もある。

今までは、込み合うのが嫌でアウト側前列のスタートだったが「ロープ際は意外と空いてるんだよ」という話を聞き、今回はロープ際3列目に位置を取った。最前列にはいつもの上位メンバーが陣取っている。
カウントダウンが始まり、しばし沈黙の時間が流れる、選手はスタートに集中する。号砲と共に一斉スタート!

3列目なので少し間があって水に入る。
いつもだが、スタートは息が上がらない程度にダッシュする。
これで少しでもいい位置につけ、自分に有利なコース取りをする。
確かに言われたとおり、前の選手は皆早いので、自分の前は割りと余裕がありとても泳ぎやすい。

鯵ヶ沢みたいに、前の選手が遅くて自分もスピードを合わせなければならず、そのために後ろの選手が覆いかぶさってくる事も無かった。そのときは「遅い選手が最前列に並ぶなよ」って言いたかった。
壮絶なバトルも無く一つ目のブイが近づいてきた。すぐななめ前に女性選手がいて、自分にとってはちょうど良いペースメーカーとなった。

ヘッドアップしながら、ブイの先に見える堤防の突端にある灯台を目印にまっすぐ泳ぐ。
オープンウオータースイムで重要なのは、いかにして目標に対しまっすぐ泳げるかである。せっかく早く泳いでも、蛇行しては大きなタイムロスとなる。
常日頃、海でもプールでもヘッドアップスイムの練習を行ってきた成果が、今発揮される。この泳ぎは自分の得意とするところだ。
一つ目のブイを右折、少し込み合うがインコースを取り、難なくクリア。

中盤は周りの選手との間合いを測りつつ、目標物を確認しながら泳ぐ。
たまに寄ってくる選手がいてニアミスを起こしそうになる。そんな時は早めに対処する、軽く蹴りを入れたり、手を広めに入水し相手の身体に触れて「こっちに来るんじゃねぇ!」とけん制するのだ、相手も不利になるので必要以上には寄って来ない。

3つ目のブイを回り復路に入る、この辺になるとコースもだいぶ空いてきた。
ふと右にいる選手を見ると、何と横にいるのはチームメイトの布施Jrではないか。彼と絡めるのは唯一スイムのみ、なんだか嬉しくなってリカバリィの時に手をプルプル振って「オーイ!」と叫んでみたが聞こえるわけも無く、そのまましばらく並走いや並泳する。

復路最終コーナーは堤防とブイの間を抜け左に曲がるのだが、ブイの直近を泳ぐと距離が遠くなるので、堤防の突端近くを抜けた方が早くなるのだ。
中間くらいまで行くと、堤防もはっきり確認できるようになったので、コースロープから徐々に離れ堤防突端を目標に泳ぐことにした。
しかし、Jrはそのままロープ沿いを泳いでいるので少しずつ自分と離れていく。「あれれ、Jrもこっち来ればいいのに」と思いつつ自分のコースラインをひたすら泳ぐ。

堤防を越え左に曲がると、スイムゴールがはっきりと確認できた。がぜん元気が出てきた。
自分の周りに2人ほどいたので、負けないようにペースを少し上げゴールを目指す。
ようやく岸壁に着いた、しかし去年の悪夢が甦る・・・「ふくらはぎ断裂」。ここで慎重に立ち上がる、「どうか何事も無く済んでくれ」と願いながら、そしてゆっくり歩き出す。「よし大丈夫だ、関門クリア!」気持ちを切り替え走りだし、ゴールセンサーを抜けトランジッションを目指す。



〜BIKE編〜
今年新調したシロモトのウエットスーツは、ツーピースフロントジッパーでとにかく脱ぎやすい!ゴールセンサーを抜けシャワーに入る前に上着は脱いでしまった。
チームメートも5人くらいは購入している。(あとで写真を見たらシロモトだらけだった)

着がえているとカメラマンが自分を撮りながら「お疲れ様、どうですか?」と聞いてきた。「うん?何かコメント欲しいのかな?」
こっちは悠長に答えている余裕はないのだが、無視するのも可愛そうだし「あー・・・、バイクが一杯あって嬉しーなー!ヽ(^o^)丿」
まずはソックスを履き、バイクパンツを履き、シューズ、ゼッケンベルト装着、サングラス、ヘルメットの順、イメージトレーニングどおりだ、完璧!
今回はバイクジャージ(上着)は止めて、カッパのトライシャツで通す事にしたっす。

勢いよくバイクスタート地点へ!(周りで見ている人にはペンギン歩きに見えてると思う)しかーし、乗車ラインを超えて乗ろうとしたが、ビンディングが上手く入らな〜い。足が思うように動いてくれないの・・・。イシヤンから「MAEちゃん落ち着いて!」と声がかかる。うーん焦ってはいないんだけどね、まあこんなもんだ。
何とか愛車TREK「まもるくん号」と合体成功、いざ遠別目指して出陣!

最初は足が慣れるまでインナーで軽く軽く回します。沿道の応援者に愛想を振りまきながら最初の坂を上る。上りきった所でアウターへチェンジ。
風は追い風気味で少し弱いかな。これなら天塩までいい感じで行けそう。メータとにらめっこしながら、まあ平均31〜32Km/hで行ければいいかななどと、バイクゴールまでのシュミレーションをしながら、ペダルを回す。
約5km地点で後ろから声がかかる「前田さ〜ん♪」布施Jrだ。スイムはほとんど変わらないタイムだったので、そろそろ来るだろうなとは思っていた。
追い抜かれる際に、自分もシフトアップしスピードを上げ、Jrに速度をあわせた。
バイクの速いJrに付いて行けるわけはないが、少しだけ付いて行く事にした。(ドラフティングしない距離で
そろそろ離れようと思った時に、一度並走し「スイムで隣にいたの分かったかい?」と言ってから後ろに下がった。あとはさよなら〜(^.^)/~~~
どんどんJrの背中が小さくなっていった。

その後7km過ぎ村上純子が疾風のように駆け抜けていった。意外だったのが、ペダルの回転数だ。すごい重いギアを踏んでいた。あんなに重いギアでランの時、足持つのかな?なんて思っちゃった。

留萌市街でパッシュの選手達に抜かれたが、自分もスピードを上げあとを追うがどんどん離される。留萌市街を抜け左折し大きな橋を越えると下りで追い風だ、40kmオーバーで気分よく走る。沿道の応援に笑顔で応え手を振る余裕もある。
いつもこの辺で固形物の補給食、モチやおにぎりを食べる。後半疲れてくると食べれなくなるので、いつも前半のうちに食べておくのだ。
ボランティアのオバちゃん達が作ってくれたモチとおにぎりは美味い。おにぎりは一口サイズでラップに包んであるので食べやすい、そんな気遣いも嬉しい。

途中、ポツリポツリと抜かれるが、マイペースでペダルを回す。
後ろから来た二人が自分を追い越し、前に出ると急にスピードを落とした。当然、前のバイクにピタリくっついた状態になる=ドラフティング
「何だよ、おまいらスピードを落とすんだったら最初から前に出るなよ!」と思いつつ、再び前に出るか、そのままドラフティングゾーンから後ろに下がるか迷っていたら、後ろから来た選手が追い越しざまに「あなた達これは完全にドラフティングだよ!」と注意しながら去っていった。
「そんな事俺に言うなよ(ー_ー)!!」ムッときたので、すぐさま前の二人を追い越しスピードを上げた。。その後その二人は前に出てこなかった。

65km地点羽幌通過、快調にペダルを回しながら「必ず戻ってくるからな〜」心に誓った。沿道の応援も「行ってらっしゃーい!」と声をかけてくれる。

95km辺りで妻ひとみの乗った応援車が手を振りながら追い越して行った。「遠別で待っててくれよ〜」
110km弱、遠別通過。ここでは我、函トラ応援軍団が大声援で応援してくれた。みんなの声がパワーになりペダルに力が入る。
遠別を過ぎた直線で少しペースが落ちて30km/hを切るようになってきた。連続するアップダウンが足に効いてきたかな。
113km辺りで後ろから「マエさん、一緒に行きましょう!」とスギさんがやってきた。「あー、もうスギさんに追いつかれちゃったか」彼はランも速いので、バイクでは何とか逃げ切りたかったのに・・・。
このまま離されてはいけないと思いペースを合わせる。31〜32km/hくらいにまでまたペースが上がった、さすがスギさん。練習の時も常に先頭グループに走り、とてもトライアスロン初心者とは思えないパワフルな走りをするのだ。

ドラフティングにならない距離を保ちながらのこのペースはちょっときついが、なんとか行けそうだ。スギさんをペースメーカーにして付いて行こう。いつもガックリペースが落ちる天塩の直線も、ペースメーカーがいるおかげでさほど苦にならず通過、風の影響もあまり感じない。
だだっ広い原野の中にひときわ目立つ巨大風車が見えてきた。その下を走りながら見上げる、雄々しくそびえ立つ巨大風車群は圧巻だ。

142km地点、天塩線駐車場のエイドも止まらず水だけ受取り通過、ロスタイムを最小限にとどめる。
そこから数キロ行ったところで右折し、幌延町役場のエイドを目指す。そこからは追い風になったのでスピードは一気に36〜37km/hまでに上がった。
後方からイシヤンの応援車がやってきた。ケコちゃんも乗っていて声援を送ってくれた。ところがその直後、アクシデントは起きた。
スギさんのバイクが橋に差し掛かったところで、段差で少しジャンプした際に後ろに積んでいた工具入れのふたが外れ、中身が飛び出してしまった。
足を止め様子を見たがバイクを止めるわけにも行かず、スピードを落としながら「スギさんならすぐ追いつくだろう」とそのまま戦線復帰。


その先に2つほど上りがあったが、ここでの上りはきつい。
幌延の折り返し地点に到着。ロータリーの手前で水とコーラのボトルを受け取る。そこでまたまたケコちゃんが声援を送ってくれた。「一番遠いところまで来てくれたんだ、イシヤン、ケコちゃん、ありがとう!

ここのコーラは氷入りで冷たくて美味しい〜。ガツンとパワーが戻りあと40km頑張れるぞ。
そこから約20km程海に向かい、再び天塩に戻るのだがこの区間はもろに向かい風になった。さすがにスピードはガクンと落ち、27km/hくらい。5kmほどでスギさんが再び追いついて前に出たが、しばらく走り今度はチェーン外れだ
またまた、スギさん後退、再復帰を願い先を急ぐ、バイクゴールまであと25kmほどもうすぐだ。

天塩を過ぎ後方を確認すると、数100m離れて後ろにスギさんが付いてきているようだ。
遠別の街中を抜け、最終コーナーを左折するとすぐ先にバイクゴール「道の駅富士見」が見えた、最後の力を振り絞りバイクゴールへすべり込む。
降車ライン前でバイクを止め、そこで降りて押して走るが、「なんだぁ・・・フラフラして真直ぐ走れない!」蛇行しながらスタッフにバイクを渡し、トランジッションバッグを受け取るが、なんか目が回っているような感じがする。もしかしたら熱中症にかかったかもしれない。そのまま更衣室へなだれ込んだ。

ラン編へ続く



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