出発まで
オロロンが終わって一年。
オロロンは9勝2敗で終わった。
全勝の後の2連敗と苦汁を飲まされた後、リベンジの機会は無くなった。
オロロンをめざして、ここ10数年、8月の第四日曜日に向けて体力のピークを作るのが年中行事になっていた。
夏になると運動をしたくて体がむずむずしてくる。そういうリズムが刻まれていた。
この時期何か目標を作っておく必要があった。
ありました。ちょうど同じ時期、お隣の韓国済州島でアイアンマンをやっている。
今年の年初に照準を決め、休みを確保。
途中荒川マラソン、ハワイホヌー70.3で調整して、いよいよ自分にとってのメインレース、チェジュに突入した。
荒川マラソン5時間54分。
ハワイホヌー スイム 54分10秒 バイク 3時間45分44秒 ラン 3時間24分20 総合 8時間18分3秒
これだけをみるととても無理な感じ。
しかし、ナンカヤの練習会が良いきっかけになりました。
ナオチャンクラブの一員として、ナオチャンクラブ員三名のあのデッドヒートを飛躍へのばねに練習を始めました。
何といってもハーフ2時間をもう少しで切れそうだったナオちゃんと競り合えたのです。
とても自信がつきました。
ちなみにナオチャンクラブは函トラの分派ではありません。
函トラ内部の比較的遅い人の親睦会です。分派だと思っていじめないでね(笑)。
チェジュのバイクコース
標高500mを一気に上がる激坂、その一部は15%にもなるという。
その情報に接してから、ひたすらバイクのヒルクライム練習に専念した。
横津岳4回。一度は、わざと重いギアで、登ってもみた。
しかし7月下旬より同僚の医師が深刻な病気ではないが必要あって入院。
休みがほとんど無くなり、週に4日当直という日々になった。
火木土日当直です。
そこで通勤ランと、ビリーブートキャンプを中心に練習しつないでいった。
いくらでも働くから、チェジュ行きの休みを取り消さないよう懇願。
ともかく働きまくって休みを確保。
以上のごとくスタートラインに立つまで頑張りました。

8月22日水曜日
相馬さんのタクシーに乗り羽田行き最終便に向け出発。
出発したら別世界。浮世のしがらみからすべて開放される。
成田のホテルで前泊。
8月23日木曜日
成田発チェジュ行き直行便で出発。昼にチェジュ(済州島)に到着。
ツアーはグッドウィルツアーを使いました。
宿泊は韓国コンドミニアム、スイム会場に一番近い。ツアーデスクがあり、何かと便利。
隣には5つ星の豪華なロッテホテルがある。
最後まで迷ったが、当日朝一分でもゆっくり眠れる一番近いところという条件を優先した。
チーフの武藤さんが添乗して同行。登録を済ませ、バイクを組み立てる。
周りを散歩して様子を見る。徒歩8分で下り坂を降りればスイム会場の海水浴場。
海はぬるくて暖かい。うねりがあり、波打ち際ではサーファーが遊んでいる。
夜には佐藤先生も到着。健闘を誓い合う。
佐藤先生はヨードソンコンドミニアムで約1.5km離れている。
そちらは新築できれい。わが宿韓国コンドミニアムは、少し老朽化している。
冷房もあるが、動作が不安定。どうしても効き過ぎる。
そこで網戸を開け、冷房はつけないで過ごす事にした。
夜は暑くて寝苦しいが、これも暑さ順応のためと割り切る。
部屋は広いし、ロケーションは抜群。リゾートの中心にあり、最高の場所。すばらしい眺望。
8月24日金曜日
今日は夜にカーボパーティがある以外は、まる一日フリー。
宿の近くにきれいな渓谷があり、滝なども見られる。午前中ゆっくり散歩して楽しむ。
しかし、結構坂があり、せっかくためたグリコーゲンを消耗したくない。半分くらいで切り上げる。
昼からはスイムの試泳。
マッキーと共に、コースロープ沿いに往復し1500mくらい泳いでみた。
波うち際は波が大きくブレークする。沖に行くとうねり。
シロウサギが跳ねるほどではない。
私はどうとも思わなかったが、マッキーはびびった。
しかし何とかなだめすかして、沖までいってみることが出来た。
私の練習というより、マッキーの来年への布石という所。
海はとてもきれいで透明。ビーチの砂もとてもきれい。よくみると5色の砂。
夜はカーボパーティ。とても華やかでした。
司会も韓英日三ヶ国語で通訳してくれるので、疎外感なく参加できた。
食事は口にあい、ちゃんと一食として役に立った。
8月25日土曜日
競技説明会。コース下見。バイクメンテナンス。バイク預託。
今日は何かと忙しい。ここで重大発表あり。
水温が高く、ウエットスーツ禁止の水温を軽く超えているとのこと。
しかし、ウェットスーツを前提に準備練習してきているし、スイムが苦手でウェット無しでは自信の無い人もいるだろう。
ハワイを狙う人、入賞を狙う人はウェットスーツ禁止。
ウェットスーツをきても、完走記録は公認する。しかし、ハワイスロットと入賞は放棄とみなす。
ウェットスーツを着ると順位無しの記録のみになる。
わたしは最初からハワイスロットの競争には参加していなかったので、関係なし。
佐藤先生はあえて、本物のアイアンマンを満喫したいのでウェットスーツ無しで参加することにするという。
ネットの記録表で佐藤先生には順位がついて、私には時間のみで順位がついていないのはそういう事情です。
さらには、スイムリタイアしても、スイム制限時間まで待ってからバイクとランを走っても良い。
この場合は公認完走ではないが、ともかく走らせてくれるという。
最初佐藤先生の心意気が感染。最後まで迷った。スイム自体は自信がある。
しかし、バイクもランもタフなコース。
スイムでの体力消耗は最小限に止めておきたい。そこで私はウェットスーツを着ることにした。
第一水着も持ってきていない。
その後、コースの下見ツアー。激坂は15%は大げさで、10%強くらいと思った。
横津岳に較べたら、たいした事はない。と思い込んで気を静めた。
ツアーにはバイクショップのメカニックが同行。
最終調整をしてもらった。「チェーン落ちしやすいですね。」といわれ、思い当たる節あり。
見事に調整してもらう。
レース当日完調のバイクで気分よく走れた。感謝。
特に坂の多いコースだったので、頻繁にフロントギアも変速。
チェーン落ちを気にしないでピシピシ変速が決まるのはありがたかった。
夕方、やっぱり水着スイムをしようかと迷って、EXPOに行って見た。しかし、EXPOは終了していた。
これで完全に選択余地無く、ウェットスーツを着ることになった。振り返ってこの選択は正しかった。
夜どこに出かけるのも面倒で、宿の食堂で夕食をとる。
一部のメニューしか出来ないとのこと。
まずくは無いし栄養的にも足りたが、質素で、少し、寂しかった。
マッキーにトライアスロンではなく、ダイエットキャンプに来ているみたい。といわれた。
夜は寝苦しい。窓の網戸から風が抜けない。
そこで入り口のドアも開けて、風を抜いてようやく眠れる気温になった。
夜は雨。雷も鳴っている。明日はどうなるのか?
雨なら涼しくていいな、などと考えながらいつの間にか眠った。
8月26日 日曜日
大会当日
4時45分起床。
グッズを点検して、宿の中庭の坂を降りて会場へ。
徒歩数分でスイム会場というのもありがたい。
バイクに念のため、ビニールカバーをかけておいたのが良かった。
夕べから明け方の雨はスコールで、相当降ったようだ。しかし、現在うそのように晴れている。
チェジュは福岡や長崎くらいの緯度であるが、最近の温暖化で徐々に熱帯になりつつあるようだ。

スタート前佐藤先生と |
ウェットスーツ禁止の最終決定を伝えるアナウンスがあった。
バイクにエアーを入れ、ベントウ袋に塩タブ(アスリートソルト)、アミノバイタル、ツムラ茯苓飲、にんにく片をセット。おっと佐藤先生から直前にいただいた手製のようかんのような補給食ブロックもしまう。
トランジッション用品を取りやすいように並べる。心拍計は最初から装着。
POLAR製品は海水に浸かっても経験上大丈夫です。
メーカーの使用説明書にはだめと書いているが。
そして、50メートルの坂を下ってビーチに到着。
********スイム編***********
5角形のコース。2周回。時計廻り。
最初のブイまで、コースロープは10度くらい斜めに張ってある。
つまり、速くてバトルをいとわない人は外側最短距離を、遅い人、バトルを避けたい人は内側コースロープ沿いを自然に位置取りするようになる。
バトル緩和の絶妙なコース設計と感心した。
波はそこそこある。波打ち際に注意。沖に出ればただのうねり。
ロープより3分の1位の位置で、やはり後方3分の1位に位置する。
このあたりの位置取りが無難かな。分相応な位置取りをすることによって、バトルに巻き込まれないで済む。
あちこちで、韓国語で雄たけびが始まる。
日本人も負けずにやりたいが、固まっていないため無理。
やがてカウントダウンが始まり、午前7時号砲。
長い一日が始まった。
マッキーのスイム練習に時々付き合っていたので、今年は例年以上に泳ぎこんでいる。
二軸スイムも取り入れ、一軸半くらい泳ぎ。第一ブイまで、コースロープよりに泳ぐ。
だんだんと外側から食い込んでくる。
前後左右どこも誰かと体の一部が触れている。
足を休めるためにキックは打たないが、触られたときだけ警告のため軽くキックを打つ。
第一ブイを過ぎてようやく交通整理終了。
後は泳ぎの形の安定しているターゲットを見つけてルール公認ドラフティングで楽をすればよい。
真後ろは渦があり、楽に進む。
それで自分の方が上級と錯覚して抜きにかかろうとする。
やっと抜いても、やがてまた同じ人に並ばれる。
それの繰り返しで、ようやく力の差では無くドラフティングのあやなのだと悟る。

スイムスタート |
自転車のドラフティングは危険だがスイムのドラフティングはバトルを緩和し安全になる。
それでルールで禁止されていないのだと思う。
昨夜のスコールで海水の透明度が落ちてあまり底は見えなくなっている。。
それでも時々ボランティアのダイバーが海底にいて見上げているのが見える。
手を振ると、向こうも手を振ってくれる。
魚はあまりいない。温暖化で沖の涼しいところに引っ越したのだろうか?
きれいな海なのでいてもよいのだがと思う。

スイムスタート前、結構波があります |
そのうち熱帯魚が住み着くようになるのかもしれない。
くらげはほとんどいなかった。
1991年の日本主催の大会のときは北側の海岸で泳いだ(今回は南海岸です)。
そのときは、海底から地下水が湧き出てとても冷たい印象があった。
チェジュ=冷たい水という印象を持っていたのだが、いまや完全にトロピカルの海になりウェットスーツ禁止にさえなった。
一周目を終え、一度ビーチに上がり、計時マットを通過してまた海へ。
45分。まずまずのペースだ。
二周目に入る。
今度はコースが混んでなくて楽だ。淡々と泳ぐ。
スイム終了。
波打ち際で手が砂に触れる。そこでウェットスーツを脱ごうとした。
水の中で脱ぐと滑りよくすばやく脱げるのです。オロロンではそうしていました。
そこに大波。さらわれて空中で一回転、砂浜に顔から突っ込むことになった。
顔が完全に砂に埋まる。両方の耳の穴にまで砂がべっとり。
意識はある。首は痛くない。四肢ともちゃんと動く。
良かった。首は痛めなかった。レースを続けられる。
波うち際は危険ですね。長居は無用。
速やかに丘に上がるのが正解と反省した。
スイムは1時間35分46秒でアップ。
ビーチの砂浜を走り、シャワーを浴びて標高50mのバイクトランジッションまで急な坂をあがる。ここは歩きました。
トランジッションタイム 10分19秒
バイクはまだ半数ある。ウェットスーツの御利益とはいえ、こんな経験は初めて。、
そんなに良いタイムとは思えなかったが、みんな波に苦労したのか?
私はあまり苦にしなかった。
**************スイム編終わり**********************
**************バイク編**********************
しかし暑い。
明け方のスコールはとっくに乾いている。湿度が高そう。
スイム前に日焼け止めを塗っておいた。
スイムしても、シャワーを浴びても完全には落ちないでそこそこ有効。
これは前回ハワイでの経験。
ただ、日差しがハワイよりは幾分柔らかい。
日焼けはするが、火傷はしない。そんな感じがした。
暴力的なきつい日差しではなく、ホンワカとした日差し。
しかし湿度が高いので体感温度はむしろハワイよりも暑い。
ハワイは思ったより涼しいが、油断するときつい日差しにやられる。
こちらは、ともかく蒸し暑いが、日差しはやさしい。
さて、ウェットスーツを脱いでシャワーを浴びて海水を落とせばそれで終わり。
バイクウェアは下に着込んである。
ヘルメット、ゴーグル、手袋、シューズをつけて、さあ出発。
バイクラックに半数も残っているので、現在分不相応な中位にいる。
このことを心に刻んで中文海水浴場をスタート。
抜かれても抜かれてもくさらないよう、心に予防線を張る。案の定どんどん抜かれる。
抜いた選手の体型をみて納得する。決してあわてない。
コースの概要は70kくらいまで、海岸沿い。東に向かう。
だらだらアップダウンの比較的フラットなコース。
山に入り、西向きに反転し、110kまでひたすら登る。そのあとアップダウンの高原コース。
最後は平地に降りて、だらだらアップダウン。東に反転。島の南半分を反時計回りに1周。
チェジュは緑が豊かで、心がなごむ。
心拍140前後を保って、抜かれようがどうしようが淡々と走る。
海岸コースでは、軽い向かい風。この向きだと、山岳コースに入ると追い風になると予想。
楽なところで向かい風、きついところで追い風。これは良い。
だらだらくだりでDHポジションをとり、軽快に勢いをつけて坂を登る。この連続。

バイク、山岳コースの激坂前のアプローチ
暑いが、緑が濃くて癒されます |
あとで追い風になるから、DHは中盤は不要と予想。
この希望的観測は後で無残に裏切られる。
エイドは、水、ゲータレード、バナナ、パワーバー、カーボショッツなどが置いてある。
残念なことに、氷が不十分で、ぬるくなっている事が多い。
チェジュ産のオレンジやスイカ、メロンなどは残念ながらなかった。
こういうものがあると、ずいぶん楽しいのだが。
佐藤先生にもらった餅、痛恨のミスで落としてしまった。ごめんなさい。しかし食べたかったなーっ。
ところどころ火山島特有の溶岩台地もある。
しかし、草木の勢いが強く、ハワイ島と違って、緑の方が圧倒的に優勢。
蒸し暑いが、フライパンで暴力的に炮られている感じはない。
ハワイ島は無機的に、乾いた熱で炮られる。こちらは、有機的で、湿った熱で蒸される感じ。
太陽が照るが、緑に吸収され、跳ね返りの光はとてもやさしい。
直接の光も、真上ではなく、少し斜めなので幾分やさしい感じがする。
70kmを過ぎると、山岳コースとなる。
しばらくはゆるいのぼりが続く。
そして90kmで、スペシャルエードステーション。
1100名の選手のスペシャルエイドバッグがズラッと道路の右端に並べられている。約300m。
道路の左側は木陰になっており、これまたズラッと選手が座り込んで、スペシャルエードを頬ばっている。
中には車座になって、家族と一緒に楽しくピクニック。
結構いいもの食っているやつもいる。うらやましい!
この光景はランになるとほんとにあちこちで見られた。
地元はいいな。とうらやましがらせる光景です。
しかし、これは余裕のある人たちだけに許される。
スピードメータで平均時速をみても、25kくらいにしかなっていない。
これなら、今から山岳地帯の本格激坂が待っているので、8時間はバイクにかかってしまう。
そうすると、ランに7時間残せるかどうか?休む余裕はない。悲しいかなランに7時間残さないと不安なのです。
そして100km、来ました来ました。激坂の始まり。
横津岳標高1160mのヒルクライムで鍛えたのだ。
標高500mくらいなんぼのもんじゃ!
クランクはシマノF700。フロントギアが50,34のコンパクトクランク。後ろは12-25。
ダンシング不要、シッティングのままで淡々と登れた。
心拍は激坂の一番きついところでも160位。あっけなく激坂が終わる。
恵山にも14%の坂があるので、いったことがあります。
そのときは、ダンシングして、心拍も175くらいでひいひい登ったものです。
一気には上れず、休みもいれて。チェジュは15%もありません。10%強位です。
城岱(白岱?)の大沼からの登り位をやっておけば十分です。
坂のきつさは同等。標高差は城岱の方がもっとある。これで勝った。
大丈夫。完走を確信する。
しかし、、、、、、、、
高原コースになり、アップダウンが続く。
今度は長いアップダウンで、くだりの勢いで登りきることは出来ない。
10%の表示の坂が頻繁に現れる。おいおい7%だよ。韓国民は大げさなのが好きなのだろう。
お父ちゃんは15%の坂を登ったんだよ。そのあとも10%の坂を何度も何度も登ったんだよ。
こう、子供に自慢げに話している光景が目に浮かぶ。
風が変だ。向かい風じゃないか。それも結構強く吹いている。6mくらい。
スピードは20kmいかない。風が山を中心に巻いている!
コース全部向かい風!!
何度も大きなアップダウンを繰り返し、そろそろ終わりかと思うと、くだりのずっと先に長いのぼりが見える。
もうあきらめました。これが永遠に続くのだと。
横津岳も、登りが永遠に続くとあきらめる練習です。そうすると、よくもこんなコース設定をしたもんだと、だんだんと笑いがこみ上げてくる。
制限時間は楽とはいえ、なんというコース設定。やってやろうじゃないか!!
これは下手をするとバイクのカットオフ(制限時間)さえ心配になってくる。
130kmを越えると、ようやく下り坂の方が多くなってきた。それでも下りっぱなしではない。
平地に降りる。昨日工事中だった場所がある。段差もあって要注意。と記憶していたのだが、真新しい舗装で仕上がっていた。
何よりの誠意。韓国の国家の威信をかけた誠意を感じた。ありがとう。
下り坂の途中、スピードを維持したまま通過できた。
警察の人と、軍人さんが交通規制に当たっていたが、みんな、きっちりとやっていた。
なかに食って掛かるドライバーもいたが、軍人さんのひとにらみで黙ってしまう。
平地に降りてからも、しつこく続くアップダウンと向かい風に悩まされた。
しかし、先に覚悟を決めていたので耐えられた。
向かい風しかないのだ。平らなところはないのだ。と
ゴールはスタートと約10km離れたワールドカップサッカースタジアム。
バイクタイム、8時間16分26秒。
スタートから10時間02分31秒。
バイクカットオフは10時間45分まで。
何とか40分少しを余して無事バイクを終了。
得意なバイクどころではない。
カットオフさえ心配な状態であった。
気温30度、湿度70-80%、風速2-6mといった感じでした。
これが、気温34度、風速8mなら、おそらくカットオフに引っかかりかねない状態になっていたでしょう。
時間は5時を少し回ったところ。目標のラン7時間残しに少し足りない。
この少し足りないが、後に大きなプレッシャーとなった。
*****************バイク編終わり******************
*****************ラン編************************
バイクの最後6km程は、ランコースと重なります。
バイクの終わりはラストスパートではなくランコースの観察と作戦たてに集中する。
ベントウボックスから、ジャージのポケットに、にんにく片、アスリートソルトを移す。
ゴール後のトランジッションの手順をおさらいする。

大活躍のグレートハット
帽子の中と両肩に濡れたスポンジで暑さ対策 |
気持ちを走るほうに切り替えていく。メインストリートなのにアップダウンの連続。
そんなにきつい坂ではない(5%は越えません)が、フラットな部分はなし。同じところを3周回。
肩が触れそうなくらい、いっぱい走っている。暑そうだ。
ところどころ、家族と車座でピクニックをやっているやつもいる。
焼肉まで焼いているグループもいる。くそー裏山鹿。
しかしたとえ地元でも自分の今の走力ではそういうヒマはないのだと思い直す。
早くて日中ゴールする人は単調で面白くないかな?
遅くて夜ゴールする人はにぎやかで寂しくなくていいだろうな。と思った。
エイドステーションは1.5kmごとにある。
水、ゲータレード、パワーバー、バナナとバイクと同じだ。
ワールドカップサッカースタジアムに入りトランジッション。
ヘルメット、ゴーグル、手袋、バイクシューズを脱ぐ。
靴下をはき、ランシューズをはく。
順番間違えた。一度靴を脱いで、バイクショーツを脱いで、ランスパッツに履き替える。
上のジャージはそのまま使う。
また靴を履く。
私とあろうものが恥ずかしいミス。
トランジッションに置いた黒飴、ツムラ五苓散、アミノバイタルをポケットに入れる。
塩とにんにくはバイクからの継続。もうポケットに入っている。
さあスタート。
トランジッションタイム4分29秒。
ミスがなければ3分台のはず。惜しい・・・。
ランコースは片側3車線の大きなメインストリート。
中央分離帯は並木道で棕櫚の木がそびえる。なんと、3車線のうち2車線をランに使い、1車線はバイクに使うという贅沢さ。
片側全部をレースに使う完璧な交通規制。国家の威信を感じる規制ぶりです。
わかりました。この国は一流国です。認めます。
夕方の5時を少し回ったところ。
韓国と日本の時差はなく、北海道とは逆に、標準時経度よりずっと西に位置している。
これは、朝は遅くまで暗く、よるは遅くまで明るい。
北海道でなら1時間半くらいサマータイムにしたようになる。だから、まだ日は高い。7時半くらいまで暑さに苦しめられそう。
ハワイで味をしめた、グレートハットをかぶる。
しかし、エイドに氷がない。水スポンジを帽子の中にいれてかぶる。
ぬるいが、ないよりまし。同じところを3周回する。
一キロごとに道路に距離が書いてあるので、ペースがよくわかる。
キロ10分5秒くらいのペースだ。
キロ10分で42キロ7時間。ちょっと遅い。間に合わない。
もうちょっとバイクが早ければ・・・・・
佐藤先生が声を掛けて抜いていく。いい走りだ。
おたがい頑張ろう。
夕方でも暑い。日差しも強い。マッキーが氷を差し入れてくれる。帽子に入れる。
キロ9分40秒くらいにペースが上がる。やがて氷が溶けて、効き目がなくなるとまたキロ10分を少し越える。
キロ10分で走り続けるとして、制限時間まで10分くらいの借金を作って1周目終了。
マッキーがスイカとパインを差し入れてくれる。
氷も多量に用意してくれている。
腹いっぱいスイカとパインを食べ、氷を多量に仕込んで、さあ出発。
スイカとパインと氷で、3つエイドを飛ばして走り続けることが出来た。
この間キロ9分30秒くらい。
午後7時過ぎ。日は大分傾いてきた。2周目の途中で日没。そして暗くなった。少し涼しくなった。
キロ10分は越えなくなった。徐々に時間の借金を返している。いけるかもしれない。希望が湧いてきた。
アップダウンの連続。
フラットな部分はない。
登りで頑張り、下りでリズムを取る。その繰り返し。
例によってずっと続くのだと先にあきらめておく。。
時々脚がつりそうになる。これは塩分不足です。塩タブ(アスリートソルト)を一錠口に入れる。すぐに収まる。
バイクで5錠、ランでも5錠くらい飲みました。
2周回目終了。
またマッキーの差し入れで果物を腹いっぱい仕込んで、スタート。
キロ9分台で頑張れている。折り返し。あと6キロ。午後11時ちょうど。
やっと時間の借金を返し終えた。以後キロ10分ちょうどを保てば間に合う。
あと5キロ。
マッキーが、荷物いっぱい背負って迎えに来た。苦労して手に入れた氷をもらう。
これで頭が涼しくなる。果物ももらう。もう十分。後はエイドに寄らなくても大丈夫。一気に走れる。
マッキーは背中にリュック、片手に着替え荷物、片手にエイド物品やハンドバックを抱え軽々と走る。
どっちが選手なんだと苦笑する。
他の選手も別の生き物を見るようななんだあれ?という顔をしてみている。
ルールに気を使い、少し後ろをつかず離れずついてくる。
最終ラップになるとめっきり人も減ってきた。まだ折り返しに向かう人もいる。その人たちはきっと間に合わないだろうな。
それでも走っている。辞めさせられるまでは走り続ける。自分からは決して辞めない。
間に合わなくてもゴールまでたどり着きたい。
その気持ちわかる。最後まで走らせてはもらえるでしょう。
同じところを周回するので、関門はない。時間になったら終わりというシステム。
だめでも12時まで遊ばせてくれる。これもいいかもしれない。
オロロンでまだ明るいうちにバスに乗せられたのは悲しかった。
やがて夜目にもワールドカップスタジアムの明かりが見えてきた。
3ヶ国語を操るDJがゴールアナウンスをしている。
韓国語に混じり時々、英語と日本語が聞こえてくる。
キロ9分40秒くらいのペース。少し貯金が出来た。しかしわずか3−4分。
筋肉が痙攣して走れなくなったらアウト。
つまずかないよう、筋肉に無理を掛けないよう慎重に走る。
ゴールが見えてきた。

マッキーと手をつないでゴール
マッキーの多量の重そうな荷物に注目
リュックもいっぱいです |
アナウンサーとカメラが寄ってきて話しかける。
わからないが、韓国ドラマで覚えた、アジャアジャファイティングと叫んで答える。
日本の方ですか?
おかえりなさい、おめでとう。といってくれる。
マッキーと手をつないでゴール。
お姫様抱っこを狙っていたが、それは無理。余力なかった。DJが日本語で結婚記念日おめでとう。とアナウンス。
もう銀婚式をはるかに超えて3年かかった。でもこれでわれわれなりの区切りがついた。
ゴール後マッキーの唇を奪う。
やんやの喝采を受けた。
後から佐藤先生にきいたのだが、これがオフィシャルビデオのラストシーンになったようです。
ラン6時間48分39秒
総合 16時間55分37秒
あと4分と少しを余してゴール。
何とか完走できました。
佐藤先生も明るいときに私を抜いていって、すれ違って、2回あっていた。
そのときはいい走りでもっと早くゴールしていると思ったのだが結構かかったみたいで、少し前にゴールしていました。
しかしほんとにタフなコースだった。
このコースで時間云々はなし。
完走できただけで十分。
3年ぶりのロング完走。
カウントダウンが始まる。
そしてゴールの閉鎖。
ゴールの内側からそれを眺めることができた。
長い一日が終わった。
そして至福の満足感が漂ってきた。
*******************ラン編終わり**************
終わってみて
チェジュは暑い。暑さ対策が必要です。黙っていても汗がふきだしてくる。
水はよくて、食事も日本人の口に合う。
キムチの量をすこし現地の人より控えめに減らせばOK。
米も日本の米に近い。治安もとてもよく安心。
日本に近く、観光地でもあり、対日感情で特にいやな思いをすることはなかった。
チェジュ、特に会場となった西帰浦市の中文リゾートは華やかな観光地。
韓国では新婚旅行のメッカ。東洋のハワイともいわれる。
実際オアフ島とハワイ島を足して2で割った感じ。
泊まったコンドミニアムも、ハワイ島のリゾートホテルそっくりの眺望だった。

宿近くの渓谷 |
宿は、老朽化に目をつぶり、やはり韓国コンドミニアムがベストと思う。
クーラーの効いた豪華ホテルでは暑さに順応できない。
制限時間ぎりぎりであったが、限界まで全力を尽くした結果。手を抜いてゆっくりしたわけではない。
スイムの波、バイクの猛暑と向かい風と激坂、果てしなく続くアップダウン。
ランの平らなところがないアップダウンの連続。
ともかくこれ以上ないと思われるタフなコースでした。
1145人中完走854名。完走率75%でした。
次の日ダメージが相当で、眠れない、食べられない。
とにかく出発まで宿でごろごろして過ごした。
マッキーは独りであちこち探索。
予定していた島内観光もキャンセル。今までにないダメージでした。
帰国後血液尿検査をしたら、予想通り過去最高の異常値。
ただ順調に回復しつつある。とても楽しかったが、限界まで頑張ってやっと間に合った。
もう二度とあんな目には会いたくないというのも正直な気持ち。
年中行事にするか? 冗談じゃない!
と思っていましたが、ダメージが回復するにつれ、もうちょっと鍛えて楽に完走できるようにしよう。
そしてまた行きたい。
また性懲りもなくそう思い始めるようになってきた次第です。
終わり
ふうさんでした
ps
主催者発表資料
気温 35度 1152名出走 完走 855名 完走率74.2%
完走記は当日の体感温度をそのまま書きました。
実際はもっと暑かったようでした。
一応考えられる限りの最悪条件だったようで、ぎりぎり完走できたというよりは、この悪条件でよく完走出来たと少しは自信を持ってよいのかなと思った。
後の感想です。
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